長命湿地の水環境を調べるために水質測定をしました!
先回、長命湿地の見取り図を示し、その植生分布から湿地の水質の違いを推論しました。つまり、オオミズゴケが貧栄養の水によって育ち、それが広がる地域は山からの地下水によって涵養されていること、一方ヨシは富栄養の水で育つので、南の方の水路から涵養されていることを推論したわけです。しかしそれは、推論にしか過ぎません。その推論を裏付けるには、水質を調べることが必要になります。
とは言っても、正確に水質を調べるにはお金も時間もかかりますので、簡便な方法で調べる方法はないかとネットで検索していたら、水温・pH・導電率を簡単にはかれる測定器があることを知り、しかも2万円前後と安いので、早速購入しました(エムケー・サイエンティフィック社製PCTestr35)。下の写真の機器です。ひしゃくでコップに水をくみ、計測器の先端を漬けてしばらく時間をおくと、測定値が表示されるという簡単なものです。
水温・pHというのは説明を要しないと思いますが、導電率(電気伝導度ともいう)は聞き慣れない言葉かもしれません。導電率とは、試験水に含まれる電解物質(液に溶け込んでいる物質)の濃度で、μS/cmという単位で表します。正確には、2cm間隔の電極の間に流れる電気抵抗の逆数を導電率と言います。水に溶けている物質にはいろいろの種類のイオン成分があるわけですが、導電率は個々の成分量までは計ることは出来ません。
先に水の貧栄養、富栄養という表現をしましたが、化学的には植物の栄養素は窒素、リン酸、カリという三大栄養素を根から吸収して育ち(それ以外の成分も重要)ます。それを溶け込んでいる物質の量として計測するのが導電率です。一般には、貧栄養と富栄養の境は、50μS/cm(マイクロジーメンス・パーセンチメートルと読みます)としています。
そこで、この計測器を使って、この7月3日の午後に長命湿地の水質を調べたのが下の図です。A〜Xの各地点に四角で囲んだ数値がそれですが、黒字が水温、赤字が導電率、ブルーがpHと表現しています。南の方が地点不足ですので、翌日補足しました。地点記号にダッシュがついているのがそれです。じっくりと測定結果を眺めると、いろいろのことが分かってきます。
先ず、導電率の数値を見て下さい。湿地の北西部(A〜E,S〜W,Q地点)では、21〜40の比較的低い値です。貧栄養なのですね。導電率21などは、まるで蒸留水のようです。一方、南の方の湿地の外の水路(L,M地点)では106〜110、湿地の中のK、I地点で115〜213の高い値で,出口のF地点では69となっています。南西部のN地点は46とやや高い値を示しますが、北に行くにしたがって低くなります。
このことは何を意味するでしょうか。全体としてオオミズゴケの生えている地域は低い値であり、予想通り山からの地下水の供給を推定させます。それも北西の隅から中央部に広がるように値が高くなることから、地下水の供給源が北西から来ていると考えられます。
南や東の保方で高い値を示すのは、ヨシが生える富栄養の水であることが確かめられました。一月ほど前に破れた畦を土嚢を積んで水路を変えましたので、今は南の水路からの流入はないのですが、枯れたヨシの分解によって富栄養化しているのだと思います。出口付近のF地点で高い値を示すのは、南の方の富栄養の水が東の方を回ってきたためと思われます。
pHの値を見ましょう。北西部ほど低い値ですね。5.2〜6.0と、弱酸性を示します。湿地は、植物が分解するときに有機酸を出しますので、一般に酸性となります。その他の地域は6.5〜7.1のほぼ中性となっています。
今回は梅雨シーズンの中のただ1回の測定ですので、さらに確かなものにするためには、さらに計測を続けなければなりません。また南の方のヨシ分布地域に、さらに測定点を増やさないといけませんが、今のところ足場がないのでこれ以上は計れません。今のような豊水期に2回ほど、8月の渇水期に2回など、各季節に測定を実施したいと思っています。
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